『ルックバック』が京アニ事件をモチーフとして修正へチェンソーマン作者の新作

ルックバック

 

ルックバック©Yahoo Japan

『ルックバック』が京アニ事件をモチーフとして修正へ

この漫画では、京本が大学で犯人に襲われる場面も描かれます。このシーンが非常にリアルで、読者たちを騒然とさせました。

しかし一方で、このシーンが、障害者差別を助長する可能性があり、また数年前の「京アニ事件」を想起させてしまうとして物議を醸してしまったのです

どうしてそのような物議が醸されてしまったのかというと、京本を殺害した犯人のセリフや描写に問題があったからです

犯人は京本に対し「オマエだろ馬鹿にしてんのか?あ?」「元々オレの(作品)をパクったんだっただろ?!」と言い放ちました。

それに加え「被害妄想により自分を罵倒する声が聞こえたと供述」と言った描写もありました。

このシーンが統合失調症という精神病の症状を描いていることは明白。さらに、ここで描かれる京本含む、12人死亡3人重体といった大量殺人は、京アニ事件がモチーフになっていることも明らかでした。こういった描写が配慮に欠けているとして、修正を強いられるほどになってしまったのです。

『ルックバック』が京アニをモチーフにして行った修正箇所は?

修正箇所は主にこれらのツイートから見ることができます。

https://twitter.com/miu_xoxxo/status/1422031564427317249

https://twitter.com/folings/status/1422062259614801926

 

これを見ると、統合失調症だとわかる部分が削除されていたり京アニ事件の動機でもあった「作品が盗作された」という描写が削除されています。

確かにこれで問題となった部分は完全に取り除かれました。

しかし、やはりこれは漫画の流れである「美術的コンプレックスがある人間の末路と、それによる凄惨な被害」の部分が欠けてしまっています。

つまり、どうして京本が殺されなければならなかったのかという、根本的な理由の部分が完全になくなってしまっているんですね。

これは表現の問題ではありますが、現在でも賛否が分かれているところのようです。

『ルックバック』京アニ事件の修正箇所ネットでの反応

ネットでは次のようなコメントが見られます。

  • 「ルックバックの修正箇所確認した、 幻聴や妄想ととれる表現は無くなっていて “”無敵の人“”に変わっていた」
  • 「ルックバック、 修正前の犯人は「自分と同じクリエイターがココロを病んでしまった成れの果て」で、修正後の犯人は「クリエイティブを軽んじて表現を抹殺する無責任なモンスター」になっているんですね。
  • 「ありえたかもしれない自分の姿」から「全き他者」に変えている、と分析できるかもしれない」
  • 「『ルックバック』の修正内容、 「絵から悪口が聞こえた精神を病んだ人」じゃなくて 「マジの変な人」にしたの、 作品の性質的にありかどうか判断しかねる。」

 

こういったように、漫画の本質が変わってしまったという意見がかなり多くみられました。

チェンソーマンの作者・藤本タツキの新作『ルックバック』公開当日に250万PV

チェンソーマンの作者・藤本タツキさんが、集英社の漫画アプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で新作の読み切りマンガ『ルックバック』を無料公開。

少年ジャンプ+(プラス)はこちらから

SNSなどのインターネット交流サイトで大きな話題となりました。

この作品は長編読み切りで、漫画家を目指す主人公の成長と挫折が全143ページにわたって描かれています。

7月19日の公開直後からSNS上で話題となり、当日に250万回の閲覧、2日目ですでに400万回以上閲覧されるなど大きな反響を呼びました。

この作品はその面白さが話題になった反面、「配慮に欠ける描写がある」として、突然修正されることとなりました。今回は修正とその理由について見ていきたいと思います。

『ルックバック』はどういった作品か(ネタバレ注意)

本作は、端的に言えば、ある漫画家の半生をつづった物語となります。物語の始まりは、主人公・藤野の小学生時代。

彼女は毎週配られる学年新聞に4コマ漫画を載せ、周囲から「面白い」「絵が上手い」と褒められ鼻高々としていました。

しかし不登校の同級生・京本が学年新聞に4コマを掲載するとその絵の上手さに愕然。自分が井の中の蛙であることに気付き、対抗して一念発起し、絵の特訓を始めます。

小学校卒業後、二人で漫画を描くようになり、1年かけて45ページの読み切りを作り上げます。その後漫画を集英社に持ち込み、漫画賞で見事純入選。

漫画の連載を勝ち取ります。しかし連載直前にして京本が「一人の力で生きてみたい。もっと絵が上手くなりたい」と言って、大学進学を決意。二人は道を分かちます。

そして数年後、京本に不幸が訪れます。大学に現れた「刃物を持った男」によって殺害されてしまうのです。それを受け、藤野は茫然自失となり漫画を休載してしまいます。京本の部屋の前で泣き崩れた藤野でしたが、かつてのことを思い出し再度歩みを進める、といった物語です。

『ルックバック』京アニ事件とは

先ほどから言っている京アニ事件とは何かという人に少し説明を。かなり凄惨な事件なので、苦手な人は読むのを飛ばすことをお勧めします。

京アニ事件とは、京都アニメーション放火殺人事件(きょうとアニメーションほうかさつじんじけん)のことで、2019年(令和元年)7月18日に京都府京都市伏見区で発生した放火殺人事件を指します。

この事件はアニメ制作会社「京都アニメーション」の第1スタジオに男が侵入し、ガソリンを撒いて放火したことで、男を含む71人が死傷した戦後最大の殺人事件

犯人とされる男は37歳で精神障害認定され、生活保護を受けていました。

犯行動機は「自分の小説を盗まれたから(実際はそんなことはなかった)」というものでした。

今回の漫画と全く同様に、被害妄想で大量殺人を犯してしまったわけですね。非常に痛ましい事件でした。

藤本タツキのプロフィール

藤本 タツキ(ふじもと タツキ)1992年10月10日 生まれ。

秋田県にかほ市出身で、秋田県立仁賀保高等学校、東北芸術工科大学美術科洋画コースを卒業しています。

主な連載歴は『ファイアパンチ(少年ジャンプ+)』『チェンソーマン(週刊少年ジャンプ)』など。

チェンソーマンはアニメ化も決まっている人気作です。

『ルックバック』が京アニ事件をモチーフとして修正へチェンソーマン作者の新作まとめ

今回は、チェンソーマンでお馴染みの藤本タツキ先生の新作長編読み切り『ルックバック』の内容と、加わった修正についてをみていきました。

今回の修正で少し怖く感じたのは、批判の声が強くあげたら、修正させることができるかもしれないという成功体験を読者に植え付けてしまったことですね。

もしこういったことが続けば、表現したいことが表現できなくなる漫画家さんも多くなりそうですね。

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